グリーンヒル鴨志田西団地 オフィシャルホームページ

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Oさんの写真で巡る世界の旅 第19回 「温泉に行こう!」

 全国に約3000もの温泉地がある日本は、世界屈指の温泉大国であることは間違いない。しかも、露天風呂であったり、混浴であったり。水着を着けずに裸で入る温泉文化は、日本独自のものだと思う。

 アイスランドにある世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」、フィンランドのサウナ、ドイツのクアハウス、ローマ風呂、トルコ風呂、インドの温泉精舎等々、これまで世界各地の温泉を訪れてきたが、やはり日本の温泉に勝るところはなかった。

 そこで今回は、2年前の1月に訪れた東北地方の温泉から「世界の旅」をスタートしたいと思う。寒い冬だからこそ楽しめる雪見の露天風呂。身体に効いて、心の疲れも癒やせる旅。年はじめにふさわしい旅だと思いませんか?

 日本人であれば誰もが、自分の好きな温泉や、行ってみたい温泉の2つや3つは必ず持っているはず。皆さんにとって「ベスト1.の温泉」と比べながらご覧ください。

 

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➀ 一度は行ってみたいと思っていた秋田「乳頭温泉郷」。温泉郷の中でも最古の出湯と言われている「鶴の湯」。露天風呂に浸かっていると、今から280年ほど前、傷ついた鶴が怪我を癒やしているのを見つけた土地の猟師が、この温泉を「鶴の湯」と名付けたという、そんな伝説が本当に思えてきた。いや本当だったに違いない。

 

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➁ 元禄14年(1701年)に開湯され、以来320余年の歴史を刻んでいるこの温泉には、歴代の秋田藩主も湯治に通っていたとか。その歴史を物語るように、本館入り口には、大きな門柱が左右に立っていた。「本陣 鶴の湯」と「秘湯 鶴の湯温泉」と記されていた。

 

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③ この宿の名物料理は「山の芋鍋」。地元産の山の芋と豊富な山菜を、独自の味噌味で仕立てた鍋料理だ。それと、釣りたての岩魚の串焼き。囲炉裏端で地酒を飲みながら、しみじみと日本に生まれて良かったと思った。

 

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④ 夕食後、再び露天風呂に浸かり、そこで香港から来たという若いカップルと親しくなった。湯から上がり、火照りを冷ます為、雪の上を入り口まで歩いて撮影した一枚がこれ。(かまくら)に灯されたあかりが、優しく幻想的に連なっていた。

 

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⑤ 翌朝、花巻にある「宮沢賢治記念館」を訪ねるという香港のカップルと別れ、私は青森に向かった。そこは、さらに雪深い「酸ヶ湯(すかゆ)温泉」。八甲田山の山懐にひっそり佇む秘湯だ。出迎えてくれた宿の車で約1時間30分、道の両側は雪を被ったブナの林が続いていた。

 

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⑥ プロスキーヤーの三浦雄一郎氏や版画家の棟方志功氏も、この宿を度々利用されていたらしい。標高925mの八甲田山麓に位置するこの山の湯は、すっぽりと深い雪に埋まっていた。

 

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⑦ 玄関に入った途端、度肝を抜かれた。なんと大勢の先客達が満面の笑顔と裸で出迎えてくれたのだ(笑)。ロビー正面に掲示されていたこの印象的なポスターは、平成6年(1994年)にJR東日本が「北東北観光キャンペーン」用に撮影したものとか。ふと、高峰三枝子と上原謙が入浴していた、国鉄時代の「フルムーン」のCM(1981年)を思い出した。あっぱれJR(国鉄)!

 

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⑧ 300年もの昔から開かれていたこの温泉宿の名物はなんと言っても「ヒバ千人風呂」。160畳ほどの巨大な総ヒバ造り、柱が一本もない大浴場、そして昔ながらの混浴が自慢だと、宿の主人が教えてくれた。この温泉にも、鹿が傷を癒やしているところを杣人(そまびと)が発見したという伝説があるそうな。

 

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⑨ 翌朝、この時期には珍しい快晴に恵まれた。宿にあったノルディック・スキーを借りて、付近を滑った。温泉を満喫し、八甲田山の絶景を楽しめるなんて、これ以上の贅沢はなかった。昭和29年に「国民保養温泉地第1号」に選ばれたのも頷ける。

 

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⑩ 青森から在来線を乗り継いで鹿角花輪へ。そこから、八幡平の山麓にある「後生掛(ごしょうかけ)温泉」まで、宿の車で約1時間の道のりだった。到着した宿の看板は半分以上が雪に埋もれ、下の川からは湯煙が立っていた。雪と湯煙、何とも不思議な光景だった。

 

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⑪ この一軒宿には「旅館棟」と、長逗留客用の「湯治棟」がある。私は迷わず「湯治棟」に決めた。ドアの無い大部屋が横一列に並び、突き当たりが共同炊事場になっている。床は韓国と同じオンドル式なので、常にポカポカ。冗談抜きで、館内はTシャツ1枚と半ズボンで過ごせる。

 

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⑫ 昔から『馬で来て 足駄で帰る 後生掛』と詠まれた歌があるらしい。諸病に効果があり、湯治には最適な温泉宿であると、ここでも宿の主人が自慢していた。確かに、ここの名物「箱蒸し風呂」、美肌効果抜群の「泥湯」、つららの下がる「露天風呂」をはしごしていると、ついそんな気になってくる。

 

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⑬&⑭ 湯殿の入り口には、私のように酒を飲んで長風呂をする湯治客に注意を促すためか、ユーモラスなマンガが何枚も貼ってあった。

 

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⑮ 日本有数の豪雪地帯、八幡平と八甲田山の山麓に佇む温泉宿。昔ながらの風情ある湯船に浸り、地元で採れた山菜料理を炉端で味わい、地酒を酌み交わし、老若男女、国籍を問わず愉しめる日本の温泉。こんな古き良き秘湯がいつまでも残ることを祈りながら宿を後にした。

 

4号棟Yさんが地図を作って下さいました。