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Oさんの写真で巡る世界の旅 第16回 フランス編 最終回 「記憶の中のパリ」

 これまで幾度となくパリに行き、数えきれないほどの写真を撮ってきた。そのほとんどは見返すこともなく、撮った日時も場所もはっきり思い出せない。反対に、今でも撮影時の記憶が鮮明に残っていて、いつまでも忘れられない光景がある。その写真を見れば、一気に時空を超えてあの日のあの時に戻れる、そんな一枚だ。

 パリの遠い空を想うとき、いつも記憶の底から蘇ってくる、そんな写真をご紹介して、このフランス編を終えようと思う。

 

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① ヨーロッパ各地の教会の中で、シテ島の司法庁の中庭にひっそりと佇んでいる『サント・シャペル教会』礼拝堂のステンドグラスが、今でも一番印象に残っている。聖書の中の1134もの場面を描いた、パリで最古のものらしい。まるで壮観な万華鏡の中に入り込んだようだった。

 

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➁ 凱旋門の先にあるアカシア通りに面したホテルに連泊したことがあった。ホテルの朝食に飽きて、凱旋門の見えるカフェまで歩き、温かい朝食を摂った。今振り返れば、とても贅沢な場所でのカフェオレとクロワッサンとオムレツの朝食だった。

 

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③ オペラ座(オペラ・ガルニエ)とルーヴル美術館を一直線に結ぶオペラ通り。大きなポスターが偶然目に留まった。この年(2018年)、是枝裕和監督の日本映画「万引き家族」がカンヌ国際映画祭の最高賞「パルム・ドール」を受賞した。見慣れた日本人俳優の顔がそこにあった。

 

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④ 夜のオペラ座はいつも不思議なオーラを放って輝いている。ド・ゴール空港からリムジンバスを利用して市内に入ると、このオペラ座の裏に到着する。バスを降りてオペラ座を見上げると、ようやくパリに来たことを実感する。ここが憧れのパリだ!

 

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⑤ 一度だけ専属バトラー付き2階正面のロイヤルボックス席でオペラを鑑賞したことがある。他に空席がなかったからだ。分不相応ではあったが、今宵だけは国王になった気分でモーツァルトの歌劇を堪能した。ベル・エポックが生んだ華麗なオペラ座を支配した気分だった。

 

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⑥左) パリ中の夢と豪奢を集めたような選りすぐりの舞台。客席の天井には、シャガールが1964年に描いた「夢の花束」が。バレエ「ジゼル」やオペラ「魔笛」をイメージして描かれたらしい。かの怪人も、この席で歌姫の歌声に聴き入っていたのかと、勝手に想像した。

⑦右) 『グラン・ホワイエ(大ロビー)』高低2段のシャンデリアが下がる宮殿風のギャラリー。オペラの休憩時間になると若い女性達がゆっくりと行き来し、「ため息の散歩道」と呼ばれていたらしい。19世紀パリ社交界の優美な面影にしばし酔った。

 

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⑧左⑨右) 印象派の殿堂『オルセー美術館』にも何度も足を運んだ。ここでは作品の撮影が禁じられているので、建物全体をカメラに収めた。以前は駅舎だった建物だけに、大きな時計が幾つも飾られたままだ。時計の針の間から、手前にチェルリー公園の観覧車、遠くにモンマルトルの丘が見える。

 

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⑩左) 『ピカソ美術館』を見学した帰り道、小雨の中をしばらく歩いた。地図もガイドブックも見ないで、当てもなくただひたすら歩いた。偶然通りかかった街角のカフェ。こんな何気ない風景が、いつまでも忘れられないことがある。

⑪右) モンマルトルは坂の街。坂の上のサクレクール寺院に行くには必ずどこかの階段を登らなければならない。ゴッホ、ピカソ、ユトリロ、ロートレック・・・みんなこの階段を何度も登り降りしたに違いない。今、同じ道を歩いていると思うと疲れは感じなかった。

 

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⑫ モンマルトルの丘の上には成功がある、そう信じて多くの若い画家たちが、この『テルトル広場』に集まった。今日も画家の卵たちが世界中から集まっている。海抜130m、ここはパリで最も高い場所にある画家たちの夢の聖地。

 

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⑬ ある事件に巻き込まれて、ピガール広場に近いパリ警察署に行った。用事を済ませて夜の広場に戻ると、ひときわ派手なネオンサインが目に入った。それがキャバレー『ムーラン・ルージュ(赤い風車)』だ。今宵も舞台ではカンカン踊りを踊っているのだろうか。

 

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⑭ 何もせずに、ただセーヌ川を眺めるだけならこの場所に限る。右岸とシテ島を結ぶパリ最古の橋(ポン・ヌフ)を渡ったところにある公園。今日は先客が居るので、彼等に席を譲ろう。古いフランス映画のタイトル『ポン・ヌフの恋人』と、一遍の古い詩を思い出した。

~恋は過ぎ去る この流れる水のように 橋の下セーヌは流れる〜

 

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⑮ 旅の終わりにもう一度、パリの夜景を目に焼き付けておきたいと思った。エッフェル塔のシャンパン・フラッシュが始まったちょうどその時、私はパリで一番高い『モンパルナス・タワー』57階の屋上から、この夜景を眺めていた。覚めない夢をいつまでも見ているように。

 

フランス編は今回が最終回です。12月はドイツを中心に「クリスマス・マーケット」の紹介を予定されているそうです。ご期待下さい。

 

4号棟Yさんが地図を作って下さいました。